水と紙 2
製紙工場の廃水処理技術を飲用水の浄化に適用するという奇想天外な着想に、ピッツフィールドの役人が賛成して、メトカルフ&エディの調査結果を却下することなどありえないと思いました。
この高名なコンサルタントたちは、クロフタとその補佐役のドクター・ロレンス・ウォンを喜劇役者コンビに見立てました。
2人とも他人が茶化して真似したがるような外国なまりの強いしゃべり方をし、そうでなくとも甚だ風変りに聞える言明にいっそう異様な雰囲気を添えていました。
まるで大伽藍の建造準備のための荘厳で典礼規範に則った儀式の最中に、武骨な男が立上り、彼らが本当に必要なのは避難所だ(隔離された執事用の建物でもいい)、会衆用の折たたみ椅子が数百脚、演壇、十字架とワインを供えるフォーミカ張りのテーブルだと宣言したかのような場違いな感じです。
コンサルタントたちは思いました。
もしビッツフィールドの政治家たちでクロフタの話を聞いて笑わない者がいたら、それは彼の言っていることを理解できなかった、それしか原因はありません。
スライドやチャートを使い、メトカルフ&エディ社副社長が力強くそしてちょっぴり嘲笑的にクロフタの廃水処理設備について意見表明をしさえすれば、その日はそれで何なくすむでしょう、と。
しかし情勢は変っていたのです。
先に水質汚染規制法が製紙工場装置に関してクロフタの販路を拡大したように、その時の大衆の感情的指向は、廉価で能率のよい浄水装置を設置する機会をクロフタに与える方向に動いていました。
決して環境保護法が見捨てられてしまったわけではなかったのです。
しかし、減税もまた〈テクサチューセッツ連邦〉といううがった名で知られる施策で人気を博していました。